ニッケル価格の推移と機関の予測

本日はニッケルについて書きます。

世界は自動車の電動化へと流れており、BEVやFCVが普及していくことが予測されています。

 

電気自動車に搭載されるリチウムイオン電池の正極活物質には以下のような種類があります。

・NCM (ニッケル・コバルト・マンガン)

・NCA (ニッケル・コバルト・アルミニウム)

LFP (リン酸鉄)

など

 

このうち、NCMとNCAにはニッケルが使用され、自動車の電動化に伴いニッケルの需要が増加することが期待されています。

 

しかし、昨今の下落相場においてニッケルは'22年3月にピークをつけました。

ニッケル先物の週足チャート ('22/6/19時点)

使用サイト https://jp.tradingview.com/chart/qT0vElHG/

需要の増加に伴い価格が上がることが期待されていますが、リセッション危惧や金利上昇など逆風もあります。

今回の記事では各機関によるニッケルの価格予測と需給予測、投資手段をまとめました。

 

1. 機関による価格と需給の予測

各機関のニッケル価格予測グラフと需給バランスのグラフは、knoemaというデータプラットフォームから引用しました。

※得てしてこのような価格予測は外れるため、あくまで参考です。

World Bank (世界銀行) によるニッケルの価格予測

2022年にピークをつけ、2024年にかけて下落すると予測されています。

 

IISA (Industry Innovation and Science Australia) によるニッケルの価格予測

2022年にピークをつけて2024年に底をつけた後、2027年にかけて上昇すると予測されています。

 

IMF (国際通貨基金) によるニッケルの価格予測

2022年にピークをつけ、2027年にかけて下落すると予測されています。

 

世界のニッケルの消費と産出

--消費 ー 採掘生産 ー精製生産(再利用?)

2022年までは消費の方が多かったですが、2026年にかけて生産量の方が多くなり、2027年には再度消費の方が多くなると予測されています。

引用 https://knoema.com/ydolvrc/nickel-price-forecasts-long-term-2021-to-2030-data-and-charts

他の金属と類似の傾向で、2022年にピークをつけ2024年にかけて下落すると予測されています

2. ニッケルの需要

  f:id:owngoalkun:20210124161652p:plain

右記サイトを参考にグラフを作成 https://ar2019.nornickel.com/commodity-market-overview/nickel

用途の70%以上がステンレス鋼です。

さらに具体的に書くと以下のような用途です。

[化学]

・化学の試薬・触媒

・高温下条件や濃縮溶液下における防腐剤

 → 高温や低温条件で酸やアルカリに対して、さびない

[歯列矯正術 (医学)]

Ni-Cr合金として使用される

・ワイヤ、はんだ

歯列矯正

・焼き付け陶材

[電気メッキ]

・腐食性物質の保管や輸送用タンクの製造

ジュラルミン製の航空機のプロペラブレードの保護

・台所用品や家具の付属品、家電製品

3. ニッケルへの投資手段

3-1. ETF

・WTニッケル上場投信 (1694.T)

・WT Nickel (NICK.xlon)

・WT Nickel (OD7M.xetr)

・iPath シリーズB ブルームバーグ・ニッケル・サブ指数トータルリターンETN (JJN.NYSE)

 

ニッケル先物との連動が低かったり、出来高が低かったりするものもあります。

3-2. ニッケルの採掘会社の株

ニッケル先物価格と株価の相関があるかを確認する必要があります。

2020年までのニッケル生産量TOP10の企業

 

時価総額が高い順番に並べた図

右にいくほど時価総額が高いです。

引用 The World's Largest Nickel Mining Companies

3-2-1. 生産量TOP1~4位の企業

1位 NORNICKEL (ノリリスク・ニッケル) (MCX : GMKN)

ロシア非鉄金属生産企業です。

生産量に関してはニッケルだけでなく、パラジウムが世界1位であり、プラチナは世界4位です。

2位 VALE (ヴァーレ) (NYSE : VALE)

ブラジルの総合資源開発企業です。主力商品は鉄鉱石であり、鉄鉱石の生産・販売シェアは35%で世界一らしいです。

3位 GLENCORE (グレンコア) (LSE : GLEN)

スイスの鉱山開発および商品取引を行う多国籍企業です。売上高では食品最大手のネスレを凌ぐスイス最大の企業です。

4位 BHP (NYSE : BHP, BBL)

オーストラリアイギリスの会社が二元上場会社となることにより形成された会社です。ニッケル生産各社の中でも、EV向けのニッケル需要増への対応を強化しています。

3-2-2. 生産量TOP5~10位の企業

5位 AngloAmerican (LSE : AAL) (イギリス)

6位 SOUTH32 (ASX : S32) (オーストラリア)

7位 eramet (フランス)

8位 igo (ASX : IGO) (オーストラリア)

9位 Terrafame (フィンランド)

10位 MCC-JJJ Mining (中国)

 

以上がニッケルの採掘が多い企業です。

 

 

4. 所感 

あくまで私の意見ですので、投資判断は自己責任でお願い致します。

「1. 機関による価格と需給の予測」から、ニッケルへの投資は2024年頃に検討するのが良いかもしれません。

 

電動化に伴いニッケルの需要は増加しますが、電池の正極活物質にはリン酸鉄を使用するという手段もあります。

ただし、冒頭で述べたNCMやNCA (いずれもニッケルを含む) を使用した方がエネルギー密度は高くなります。

 

そのため、ニッケルの需要と価格は安定でありながら、急激な増加は見込めないかもしれません。

最新技術の情報を追いかける必要はありますね。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

以下のような記事もありますので、よろしければご参照下さい。 

owngoalkun-credentials.hatenablog.com

owngoalkun-credentials.hatenablog.com