銅価格の推移と機関の予測
本日は銅について書きます。
銅は「ドクター・カッパー (Copper = 銅)」として知られており、これは最大の消費国である中国景気を診断するように先行するためです。
さらに以下の理由からも注目されています。
電気自動車 (BEV) の製造過程で使う銅の割合は、ガソリン車を製造する時に比べ4倍近く増加します。
また、風力発電や太陽光パネルに至っても銅は欠かせないものであり、従来の化石燃料発電で電気を生産する場合と比較すると、風力発電や太陽光パネルを使用した場合に必要とされる銅の量は5倍近くとなります。
銅はリチウムイオン電池の負極の集電箔に使われており、自動車の電動化に伴い銅の需要が増加することが期待されています。
しかし、昨今の下落相場において銅は'22年3月にピークをつけました。
銅先物の週足チャート ('22/6/19 時点)
使用サイト https://jp.tradingview.com/chart/qT0vElHG/
需要の増加に伴い価格が上がることが期待されていますが、リセッション危惧や金利上昇など逆風もあります。
今回の記事では各機関による銅の価格予測と需給予測、投資手段をまとめました。
1. 機関による価格予測
各機関の銅価格予測グラフと需給バランスのグラフは、knoemaというデータプラットフォームから引用しました。
※得てしてこのような価格予測は外れるため、あくまで参考です。
2022年にピークをつけ、2027年にかけて下落すると予測されています。
ISA (Innovation and Science Australia) による銅の価格予測
2022年にピークをつけて2024年に底をつけた後、2027年にかけて上昇すると予測されています。
2. 需給予測
世界的な銅の需給見通し
2024年以降は黒線の需要が緑エリアの生産より高く、供給不足が予測されています。
他のサイト*でも類似の傾向が予測されています。
* Will a lack of supply growth come back to bite the copper industry? | Wood Mackenzie
供給不足が見込まれていることは、銅価格や銅採掘会社の株価にはポジティブです。
3. 銅への投資手段
3-1. ETF
・WisdomTree 銅上場投資信託 (1693.TSE)
→ 東証1部に上場している円換算した米ドル建て銅商品指数が対象のETFです。
・WT Copper ETC (COPA.LSE)
・iPath シリーズB ブルームバーグ銅サブ指数トータルリターンETN (JJC.NYSE)
・United States 銅指数ファンド (CPER.NYSE)
3-2. 採掘会社の株
生産量のランキングは以下サイトを参考にしました。
・ 10 Top Copper-producing Companies
・ • Leading copper producers worldwide by production output 2020 | Statista
3-2-1. 生産量TOP1~5位の企業
1位 Codelco (チリ)
銅はチリ最大の産業かつ最大の外貨獲得手段であり、銅によって国家の経済が成り立っていると言われております。
2位 Glencore (スイス)
鉱山開発及び商品取引を行う多国籍企業です。ニッケルの生産量も2020年時点で世界3位です。
3位 BHP Billiton (NYSE : BHP) (オーストラリア)
鉱物資源、金属、石油製品、石油・ガスの採鉱・処理事業に注力するほか、販売サービスを提供し、世界各地で事業を展開しています。
ニッケルの生産量も2020年時点で世界4位です。
4位 Freeport-McMoRan Inc. (NYSE : FCX) (米国)
多様な地域に大規模で長期間存続する銅、金、モリブデン、コバルト、石油、ガスなど大量の埋蔵資産を取り扱っています。
5位 Southern Copper Corporation (NYSE : SCCO) (ペルー)
ペルーとメキシコで採鉱に従事しており、露天掘り鉱山および治金施設を保有・運営し、銅、モリブデン、亜鉛、貴金属を生産しています。
3-2-2. 生産量TOP6~10位の企業
6位 First Quantum
7位 Rio Tinto (英国、オーストラリア) (NYSE : RIO)
鉄鉱石の生産量は2020年時点で世界1位 (参考 Top five iron ore producing companies of the world )、アルミニウムの生産量は2019年時点で世界5位です (参考 • World's leading primary aluminum producing companies 2019 | Statista)。
8位 KGHM Polska Miedz
9位 Antofagasta
10位 Norilsk Nickel (ロシア) (MCX : GMKN)
生産量に関してはニッケルとパラジウムが世界1位であり、プラチナは世界4位です。
4. 所感
あくまで私の感想なので、投資判断は自己責任でお願い致します。
「1. 機関による価格予測」と「2. 需給予測」から推察するに、銅への投資は2024年あたりに再度検討するのが良さそうな印象を受けます。
今のような下落相場で焦って買う必要はないと思います。
本日は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。以下のような記事もありますので、よろしければご参照下さい。
owngoalkun-credentials.hatenablog.com
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