8月も残り数日となり、来週から9月となります。株式市場には「9月効果」という言葉があります。
またアノマリーか!夏枯れ相場とか言って、今年は全然下がらんかったやん!
と思われるかもしれませんが、あくまで紹介ということで書かせていただきます。
1. 9月効果について
9月効果とは
ジェレミー・シーゲル氏の「株式投資 Stocks for the Long Run」の中で書かれています。
9月は1年のうちで群を抜いて悪い月であり、米国株の再配当投資を含めても唯一利回りがマイナスとなる月だそうです。
1885年にダウ平均に1ドルを投資した場合、2006年末にいくらになっているかが算出されています。
・1885年にダウ平均に投資した場合、1ドル → 490ドル (配当を除く)
・9月にだけダウ平均に投資した場合、1ドル → 23セント
・9月を除く残りの月を通して株式を保有し続けていれば、1ドル → 2176ドル
ちなみに9月の利回りの低迷は米国以外の国々でも確認されます。
9月は時価総額加重平均指数の利回りがマイナスを記録した唯一の月であり、世界の主要な指数で最悪の月だそうです。
なぜ9月の利回りが悪いのか
著書の中で以下2つの仮説が述べられていました。
① 経済とは直接関係なく、冬に近づいて急速に日が短くなるという憂鬱な雰囲気によるものか?
しかし、この仮説は日が長くなり始めるオーストラリアやニュージーランドなどの「南半球 」でも株価が低迷しているので、成り立たないそうです。
② 投資家が夏休みのレジャー資金を支払うために株式を売却する (あるいは株式の購入を控える) 結果か?
多くの人にとって、9月は1年における月曜日であり (月曜日は1週間の中でパフォーマンスが悪い傾向がある) 、休暇のあとに仕事に直面しなければならないときだからかもしれないと述べられていました。
あくまでアノマリーの一種
アノマリーとは、ある法則・理論からみて異常であったり、説明できない事象や個体などを指します。
2. 1885年~2006年の9月の利回りの傾向
ダウ平均 (キャピタルゲイン)
1885年~2006年 : -1.1%程度
1946年~2006年 : -1.1%程度
1990年~2006年 : -1.5%程度
S&P500 (配当を含む)
1885年~2006年 : -0.8%程度
1946年~2006年 : -1.1%程度
1990年~2006年 : -1.1%程度
参考 ジェレミー・シーゲル (2009). 株式投資 第4版 日経BP社
3. 2007~2019年の9月の利回りの傾向
過去の記事でも載せていたグラフですが、2007年~2019年の7~9月のキャピタルゲインをまとめたグラフです。
2006年までのデータと比較すると9月は良くなっています。
さらに詳細な表とグラフを載せます。
右記サイトを基にグラフを作成 https://jp.tradingview.com/chart/qT0vElHG/
9月は7, 8月より最大上昇率と最大下落率がいずれも大きいです。
2008年と2011年に5%以上の下落を記録しましたが、それ以降は大きな下落はみられません。
2017年~2019年では3年連続上昇しています。
以上より、「9月効果」は少なくとも米国市場において、2012年以降では効果が低く、恐れる必要はあまりないという印象です。
※あくまで過去のデータを見た印象ですので、投資は自己責任でお願い致します。
4. 最後に
金融緩和とゼロ金利の影響で、株価は強い上昇トレンドなのでアノマリーなどもあまり関係なく、引き続き上昇しそうな勢いですね。
長期投資には関係ない話です。短期トレードをする場合は、頭の片隅に少しでも入れていただければ幸いです。
本日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。
以下のような記事もありますので、よろしければご参照下さい。