プラチナとパラジウムの価格差の理由
本日はプラチナとパラジウムの価格差について書きます。
両者は自動車の浄化触媒や工業分野としての需要があります。
しかし、現在パラジウムはプラチナの約2倍の価格になっています。
引用元 無料株式チャート、株式相場とトレードのアイデア — TradingView
本日はこの理由と今後両者の価格がどうなっていくと考えられるかについて書きます。
1. 需給の量とその内訳
以下サイトのデータを基にグラフを作成 (いずれのサイトも単位はキロオンス koz)
プラチナ World Platinum Investment Council - Supply & Demand - Historical Data
供給量はパラジウムの方が多いです。
内訳の産出国はいずれも同じです (プラチナとパラジウムは同じもしくは副産物として産出されるため)。
需要量について、プラチナはおよそ横ばいであるのに対して、パラジウムは右肩上がりです。
内訳は2019年の自動車用としての需要は、パラジウムで84%であり増加傾向ですが、プラチナは34%で減少傾向です。
宝飾用と投資用としての需要はプラチナがパラジウムより高いです (パラジウムは資産として売られており、投資用としてはマイナス)。
2. 価格差の理由
プラチナとパラジウムの需給グラフ
以下サイトのデータを基にグラフを作成 (いずれのサイトも単位はキロオンス koz)
プラチナ World Platinum Investment Council - Supply & Demand - Historical Data
プラチナよりパラジウムの方が近年供給不足となっています。
自動車の触媒として、プラチナはディーゼル車用に長けており、パラジウムはガソリン車用に長けております。
下図のようにディーゼル車 (灰線) よりガソリン車 (赤線) の販売台数が増加傾向にあります (2017年までのデータですが)。
そのため、パラジウムの方が供給不足が拡大しているのです。
引用元 Diesel in Europe in 2017: annus horribilis - JATO
3. いずれ価格差は縮小する?
3-1. 排気浄化触媒にはプラチナの需要が増えるかもしれない
2000年初めまで、ガソリンエンジンで同じ量の有害物質排出の低下を達成するためには、パラジウムはプラチナの倍の量が必要でした。
しかし、技術革新によってパラジウムの量をプラチナと同量にしても同じ効果が得られるようになりました*。
*A Study of Platinum Group Metals in Three-Way Autocatalysts | Johnson Matthey Technology Review
そのため、当時価格の安かったパラジウムが現在までガソリン車の触媒として主に採用されてきました。
一方で希薄燃焼を行うディーゼル車の場合では、ガソリン車で使われている三元触媒に加えて、PM処理のためのDPFやNOx吸蔵触媒が必要であるため、元々技術的に採用されていたプラチナの方が需要があります。
プラチナはパラジウムより低価格かつ代替可能なため、ディーゼル車の販売台数が増加せずとも、プラチナの需要が高まると考えられます。
3-2. 燃料電池車の普及によりプラチナの需要が増大する?
燃料電池の触媒には酸素還元活性と耐酸性が求められ、プラチナが使われます。
パラジウムは酸素還元活性は高いですが、耐酸性が不十分なため不適です。
燃料電池車については、以下の記事に書きました。
owngoalkun-credentials.hatenablog.com
4. 最後に
プラチナ価格の目安はパラジウム価格に接近していくと考えております。
↓貴金属のETFをまとめた記事です。ご参考になれば幸いです。
本日は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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